第2話 『 16個の形容詞 』

路地を少し入ったビルの地下
落ち着いたバー 照明はほどよく仄暗い
やっと聞き取れるくらいのジャズ風のBGM
カクテルを振る初老のバーテンダー
そのカウンターの片隅に男と女はいる

「私ね 今 自分自身がよくわからないの」
誘いをかけるように女がつぶやく
男は少し目線を落としコースターを裏返す
スーツの内ポケットからペンを取りそれに添える
「縦に16コ形容詞を並べてごらん」
「えっ」
何が何か分からない 不安げに女はペンを取る

「16コ ? 形容詞?」
「そう悲しいとか嬉しいとか白いとか黒いとか い で終わるヤツさ」
「うん わかった」
7~8コくらいまではサラサラとペンをすべらせていたがペースが落ちる
「けっこう難しいものね」

数分後女は男の顔を見上げる
「できたわ さぁどういうことか教えて」
「まだまだ 今度は上から2つずつの言葉から連想する言葉を横に書いていって」
「まだやるの」
「そう 今度は名詞でもなんでもいいよ えーっと 美しいと寒いか 美しくて寒いものを書いてみてくれ」
8コの言葉が並んだ

「さぁ次だ 今度も同じようにその8コを上から二つずつ連想していってくれ」
「ひょっとして最後までやるんでしょう」
「そう 8コが4コ そして2コ 最後の1コになるまで書いてごらん」

女は長い髪を肩に寄せペンを走らせる このゲームを少し楽しんでるようだ

「最後の言葉が出たわ」
男はその文字を見ずにチェックを申し入れ 振り向きながら女に言った





「その言葉が今キミの中で一番気にかかっているものさ いやキミ自身かもしれない」
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※形容詞から連想を導く原型は「おしゃべり用心理ゲーム」(パキラハウス)であったと思う
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by maruto2005 | 2005-05-15 19:01
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